<モリス 36 と ノースボート>

メイン州のアケーディア国立公園のサウスハーバーにあるモリスヨットは、約20年ほど前
に知ったビルダーで、私の大学ヨット部の先輩に当たる薬師さん、という泉州のロープ屋さん
を通じてのものであった。薬師さんの同郷の方で、名前は失念したがニューヨーク大学で教鞭
を執っていらっしゃった方の息子さんが建築設計をアメリカで修め、チャックペイン設計事務
所で働いていた。その息子さんが来日する際にチャックペインデザインのプロモーションを希望
していると言う事でお会いする機会を得た。
チャックペインは多くのデザインをモリスヨットに提供しているので息子さんの資料にはモリス
ヨットのカタログもあった。メイン州のヨットといえば、バブル期にヒンクリーヨットが数隻輸入
され、かなりな高額で販売されていたが、モリスは日本では知られていなかった。
ヒンクリーは素晴らしいヨットで、それは今も変わらないが、私は何故かモリスの造るヨットに
魅せられていた。その時は結局、チャックペインの艇もモリスのヨットも日本のオーナーに紹介
出来ずに終わってしまった。
しかしながらモリスのアニーやリンダという30フィートクラスのヨットは、私の憧れの艇として
記憶に仕舞われた。その後、インターネットの発達でネットサーフィンによって海外の情報を取得
する事が簡単になり、私は仕事に関係するサイト以外にも、興味のあるビルダーやデザイナーのサ
イトをしばしばチェックしていた。その中には、モリスもチャックペインも含まれていた。

2004年の春先、ライズマリンを立ち上げて仕事の方向性を模索している時期に、チャックペイ
ンのサイトに新しいプロジェクトとして<ノースボート17.5>というローイングセーリングボート
を見付けた。ラップストレーキの伸びやかなシヤーラインを持つベンディッドガフリグのセンター
ボーダーは、複座でのローイングも可能で、従来のレーサー型ディンギーを見慣れた私にとっては
新しい水上での遊びを創造するには最適な艇に思えた。
学連や国体といった括りでセーリングを普及させてきたわが国に欠落している部分を大きく埋める
だけでなく、新しい水上での遊びの分野を創り出せるかもしれないといたく興奮してしまった。
       NorseBoatのビルダーホームページへ(英文)

それと同じ時期にモリスヨットではM 36 という素晴らしく美しい船体を持つウイークエンドクル
ーザーの開発がウエッブサイトに発表された。これはS&Sの設計で、ショートハンドでの帆走が艤装
されている。単に美しいだけの艇ではなく、クラシックな外観に最新のヨット建造技術と材料、艤装
が融合している。この艇は同じコンセプトを持つデイクルーザーブームを巻き起こした。ヒンクリー
からは42フィートが、ザーンデザイン等から40フィートの艇が出、J-Boat社からはJ−100
が誕生した。私はモリスファンだが、一方では従来のモデルは日本では受け入れられないとも思って
いた。そこへM36が出てきた。船価もモリスの36フィートとしてはリーゾナブルなものと思われた。
     Morrisヨットのサイト中のM36へ

このような2つのヨットが開発されているのに、じっとはしておられず、長年の夢でもあったモリス
ヨットの創設者のトム モリスさんやチャックペイン事務所に行ってみたくて堪らなくなった。そこで
家族と共にニューイングランドの旅を実行に移した。マーブルヘッドの美しい町や魅力的な海辺の景色
を家族にも見せたい、という気持ちも強かった。そして2004年に実行したその旅は私のニューイン
グランドへの傾倒に拍車をかけた。そして2006年にはこの2つのヨットが日本にやってくる事にな
った。
ノースボートは長崎の在日アメリカ人(日本人でなくて残念)、M36は神奈川県の身近な友人の元に。

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モリス M 36

ノースボート 17